AKB48 チームK公演 〜こちらの世界に近いようで、実はけっこう遠いもうひとつの世界のお話〜

 自宅発直前、夏ハロ代々木公演分のチケットが届く。22日分と23日昼公演分。23日夜と名古屋・大阪のチケットは未確保であり、ヤフオクに懸ける。予算が逼迫しているので席は問わないから、名古屋と大阪は定価割れを狙いたい。23日夜は残された予算n万円を全額使っても、どこの席でも手に入りさえすれば御の字であろうか。
 13:45、予定よりやや遅れて秋葉原48劇場に到着。入場料1000円を支払って手に入れたチケットの番号は221。現在のセットリストでの公演も千秋楽が迫っているためか(この日を含めてあと5回)、チケットの売れ行きがますます加速しているらしい。もう少し遅れていれば入場できなかったところであり、自宅での雑用を途中で切り上げて正解だった。
 昼食と資材調達がてら秋葉原各所を散策。キャンペーンのないボウルズボールBBは過疎状態。あの店はキャンペーンを行ってなんぼだ。
 18:00に劇場へ戻り、モニター画面を眺めたりヲタを観察したりしながら整列を待つ。商売敵ハロショの袋を手に提げるヲタ。体調不良のため脱退となった上村彩子のために千羽鶴を折るヲタたち。
 そしてチケットの番号順に整列し、入場順を決める抽選が始まる。230番台に始まり、160番台、180番台、130番台、1桁、200番台、30番台、70番台、110番台を経て、われらが220番台は10巡目での入場となった。すでに座席は埋まり、立ち見も最前はほとんど埋まっているかに見えたが、上手の最前に空きを発見してすかさず確保。しかしこの位置からではちょうどステージセンターが柱にさえぎられて見えない。ドラクエ4モンバーバラ劇場で柱の真後ろに席を割り当てられた哀れな観客を思い出す。そしてまた、このポジションがその後の苦難を招くことになる。
(セットリスト:http://www.akb48.co.jp/song/01k.html
 開演後3曲を経て、最初のMCは全員の自己紹介であるが、ここで問題発生。私が選んでおいた「推しメン」である宮澤佐江のMCは、この位置からでは見えないのである。大きく左に身を乗り出して、柱の陰からかろうじて覗くことができた。他のメンバーでは、小野恵令奈奥真奈美の幼さが特に印象的であった。特に小野恵令奈が萌えの黄金パターンに忠実な振る舞いを見せており、これで人気の出ないほうがおかしい。秋元才加野呂佳代もそれぞれの特徴がよく出ていた。
 MC後はユニットに分かれての4曲。少人数の曲はほとんどステージ中央に集まって歌うことになるため、中央の見えないこのポジションは非常に不利である。「スカート、ひらり」では宮澤佐江が一時的に上手へやってきてくれたが、「星の温度」ではほとんど誰も見えないまま終わった。
 そして今回の目当て、「桜の花びらたち」であるが、固定マイク、固定ポジションでの歌唱であり、宮澤佐江は柱の陰でまったく見えないまま終わった。とりあえず、上手の(判別できない)メンバーに合わせておく。この時点で、今回確保した「立ち見最前の上手端から3番目」が、まともな鑑賞のためにはきわめて不適格なポジションであることを遅まきながら悟った。ましてや宮澤佐江の定位置はセンターやや下手寄りらしく、彼女を「推す」ならば3列、4列目になろうともそちらのポジションにつけるのが正解だったということになる。
 しかし、最後に救いは訪れた。アンコール2曲目の「スカート、ひらり」中盤あたりからは宮澤佐江が上手目の前へ移動してきて、そのまま最後の「桜の花びらたち」もほとんど全部その位置にとどまった。ここぞとばかりにアピールするが、はっきりレスをもらえた確証はない。


 総評としては、MCに力が入っている、というのが第一の感想。毎回考えているであろうMC内容で親近感を持たせることに成功している。モーニング娘。などでも一部のMCではそのような動きがあるが、AKBと比べるといささか不満がある。AKBの年少組程度の年齢層になるBerryz工房℃-uteにこれを要求するのは酷な話であろうか?
 また当然のこととはいえ、ステージパフォーマンスではハロプロに一日ならぬ百日ほどの長があるだろう。ステージの狭さというハンデもあるが、ダンスのダイナミックさではハロプロがAKBを圧倒する。そしてモーニング娘。のメンバーは、わずかな隙でも客席へのレスポンスや、盛り上げへの煽りを欠かさないが、AKBはまだこのあたりに改善の余地がある。私の「推していた」宮澤佐江などは、要所でこそ笑顔で決めて見せるものの、無表情が基本であった。これはキャラクターとしての設定や曲調からそういう方針を採っているのかも知れず、今回のステージだけで評することは難しいところだが。
 AKBはAKBで、ステージと客席の近さによって、客席側の働きかけがメンバーに伝わりやすく、小さい劇場ならではの長所が活かされているし、ハロプロハロプロで、大きな会場を一体化させるパフォーマンスに優れている。AKB48ハロプロはそもそも分野が違っており、両者とも現状のまま維持されるなら、そもそも食い合いや潰し合いなどにはならないとも考えうる。
 観客は全体的におとなしい。℃-ute Cutie Circuit 2006クラスの騒ぎを予想していたが、一部を除いてはいたって静かなものだった。ボードはおろか、サイリウムすらほとんど見かけなかった。観客が自主的にそうしているわけではなく、さまざまな規制の結果このようなスタイルになっていることが場内の雰囲気から読み取れる。
 私としては、また気が向いたときに足を運ぶかもしれないが、毎回1000円、2000円に加え交通費を払って通いつめるほどのものではない、という結論になった。AKBの良さは認めるが、私にそういう気を起こさせるほどのものではないということである。「星の温度」や「青空のそばにいて」などはそれなりに気に入りはしたが、「桜の花びらたち」のような曲推しまでには至らず、結局これからも同曲の単曲推しで進行しそうである。
 なにはともあれ、この劇場が一日でも長く続くよう、それが不可能であるならばせめて、メンバーたちに不幸な末路がもたらされることなくそれぞれの未来へ進んでいけるように祈りたい。