ハロプロvsAKB48

 明日は、AKB48 チームKの公演を観覧するため秋葉原に出かける予定である。


 自分自身に対する仮説として、私は「アイドルが好きだから」ハロプロを応援しているわけではない、はずだ。id:hellorainbow:07770707のように、「群像劇としてのハロー!プロジェクト」を楽しんでいる、というはずである。
 だが、単に群像劇というだけなら、必ずしもハロプロである必要はない。同じようなアイドルグループのAKB48でもいいだろうし、女性アイドルと限定する必要もないからジャニーズなどでもかまわないだろう。宝塚とかプロレスとかでも問題なかろうし、そもそも実在にこだわらなければ、優れた小説や映画、漫画がいくらでもある。
 では、なぜハロプロでなくてはならないのか。


 第一に、過去の膨大な蓄積がある。シャ乱Qロック・ヴォーカリストオーディションに始まる9年間で積み重ねられた膨大なストーリー。一般に女性アイドルグループの寿命は2〜3年といわれるから、これは他のアイドル集団には類を見ないものである。それらは楽曲や映像作品の形で残され、いつでも楽しむことができる。
 第二に、事務所の方針が良い。ハロプロの所属するアップフロントグループは、「面倒見の良い事務所」として定評がある。安易にメンバーやグループの切り捨てを行わず、本人たちが望む限りハロプロの旗印のもとで活動を継続させる。そのおかげで、単独では芸能界の厳しい競争に勝ち残れないメンバーも存続が可能になり、それによってメンバーの多様性が保たれるから十人十色の好みに応えられるし、また群像劇としての深みも増す。この事務所の秘密主義や、「ファン不在の営業姿勢」に対する批判の声も根強いが、この部分に関しては大いに評価したい。
 そしてなによりも、ヲタによる自主的な文化創造と、それを尊重する姿勢である。2chのモ娘3板(芸能chも含めれば4板)をはじめ、各種のファンサイトによってヲタ同士の交流、連携が深まっているし、アップローダの完備によって、番組を見られないことによる地域格差もある程度食い止められている。単に事務所から取締りを行わないという消極的黙認だけであれば、テレビ局など他のルートからの取締りが入ってアップローダは存続できないだろうから、これは事務所が諸方面に働きかけて、ヲタの活動を積極的に保護しているとしか考えられない。そういった働きかけが単なる慈悲によるものではなく、興行とグッズ販売を営業の中心に据えるこの事務所の、現実的な戦略計算に基づくものであって、その結果として自然と事務所とヲタの共存共栄が成立しているのが、この方針の優れているところであり、これが維持される限りにおいて、ハロプロを超える女性アイドル集団が現れることはないと確信するものである。


 対するAKB48は、現在までのところこの3点について、まったくハロプロにかなうところはない。
 いまだ1年を過ぎないAKBは、歴史の蓄積において到底ハロプロに並ぶ境地ではない。もちろん、今後AKBが安定軌道に乗って何年も続くようならば、この部分ではハロプロに比肩しうるものになるだろうが。
 また、AKBの当初の構想では、人気投票によって一軍と二軍に分かれての昇降格を行うと明言していた。このような方式を採ると、多数派好みのメンバーが一軍に集中し、メンバーが均質化されてゆく方向へ進むことが予想される。さらにAKB48は、その名称からも明らかなとおり定員を48人と区切っている。よって仮に、48人が出揃ったのち新たに有力なメンバー候補が現れたとすれば、不人気メンバーを解雇してそれに代えるという形になるであろうから、均質化はさらに加速するだろう。人によってハロプロ方式との間で好みの分かれるところではあろうが、この方針が忠実に果たされるとするならば、私はAKBのほうを支持する気にはなれない。
 最後に、ヲタの自主性尊重という点では、まだ日も浅く、事務所の方針をはっきり評価できる状況にはないが、2chへの投稿で見る限り、グッズの転売や現場でのトレーディングを厳しく制限するなど、どちらかといえば従来の常識である統制型のスタイルを志向していると思われる。


 以上のような理由により、ハロプロのほうが私にとって「楽しみやすい」環境であることは確実であり、したがって私がAKB48のヲタになることはありえないというのが仮の結論である。
 しかし、果たして本当にそうなのか。実際にはハロプロでなくても、アイドルに萌えられればなんでもいいのではないのか。明日、秋葉原48劇場に向かうのは、この点においてどちらが正しいのか、自分自身の心理を確認するためである。
 まずチームの選択であるが、私の中で曲推しに値する佳曲として「桜の花びらたち」があるから、現在のセットリストにこれが含まれているチームKに決まりである。
 また、ただ漠然と全体を推すよりも、特定のメンバーを中心的に推すほうがレスがもらいやすいであろうから、実験としての公正を期するためには仮にでも推しを決めて準備しておいたほうがいいだろうということで、公式サイトの写真を参考にチームKの中から仮推しとして宮澤佐江を選んだ。


 これが最初で最後のAKBとなるか。チームAも見てみようという気になるか。はたまたハロプロをかなぐり捨ててAKBへ全面乗換えとあいなるか。
 AKBのパフォーマンス、そしてそれに対する私自身の感想が楽しみでたまらない。